序列35番:マルコシアス

30の軍団を率いる侯爵。嘘を嫌う実直な武人タイプの魔神
マルコシアスはそれほどメジャーではありませんが、
なかなかいいキャラをしているので意外に名前が知られているような気がしますね。
その姿はグリフォンの翼と蛇の尾を持った狼で、口からは常に炎を吐いているといいます。
で、今回マルコシアスとして選んだのは5のキラーパンサーなんですけど、
これはネコ科なのでちょっと正確とはいえないですね。
しかしイヌ科のそれっぽいモンスターっていないんですよ。
1に出てきたリカントなどは元ネタが狼男を意味する「ライカンスロープ」ということなのでイヌ科ではあるんですけど、
マルコシアスは獣人のイメージとはちょっと違うような気がします。
そうなると、四足で、かつ強そうなモンスターとして浮上してくるのがキラーパンサーになるというわけです。
まあこの程度の差異は許容範囲ということでお願いできないでしょうか。
元はこう
19世紀に描かれた地獄の辞典挿絵でのマルコシアス。
これはまたいいですよね。
いかにも神話に登場する怪物といった趣の、伝統的な合成獣スタイルです。
(そもそも名前自体もかっこいいと思うのですが、
これは「侯爵」を意味するラテン語の「marchio」に由来するとか。)
また長身の兵士の姿をとることもできますが、
狼モード、人間モードのどちらであっても戦闘には非常に強いと言われています。
真・マルコシアス
狼の魔神といいつつ豹のモンスターで表現せざるをえなかったマルコシアスですが、
イヌ科という観点から探した際、ふと目にとまったモンスターがいたんですよ。
そう、3のアニマルゾンビです。
色違いにはバリイドドッグ、デスジャッカルというのがいるんですけど、これはモロにイヌ科ですよね。
そこで思ったんです。
このアニマルゾンビを、なんとかマルコシアスにできないだろうか……?
マルコシアスというのは、狼+翼+蛇の尾+口から吐く炎で成り立っています。
ひとつひとつはオーソドックスな要素ですね。
ということは、それぞれの要素を持つドラクエモンスターを見つけられたなら、
それらを合わせて完全なマルコシアスを誕生させられるかもしれない……。
というわけでやってみたのが以下になります。
アニマルゾンビの用意
まずベースとなるアニマルゾンビです。
イヌ科ですね。
狼であるマルコシアスの表現には向いていると思います。
ただ、ひとつ大きな問題がありますよね。
そう、ゾンビであるということです。
マルコシアスにアンデッド属性はありませんので、
通常の狼にする必要があります。
生前の姿に
そこでアニマルゾンビを生前の姿に戻すことにしました。
それがこちら。
これでアニマルになりました。
ごく普通の狼として納得のいく姿ですね。
(生前のアニマルゾンビの姿は8で登場したダースウルフェンに近いですね)
どう見てもマルコシアス
狼が準備できたところで、
残る要素である翼、蛇の尾、炎をどうするかという話になりますよね。
しかしこの問題に関しては意外にあっさり解決しました。
まず翼ですが、これはキメラの翼を移植すれば大丈夫です。
続いては蛇の尾。これもいい具合にマッチしそうなモンスターがいましたね。
2のラスボス、シドーです。
シドーはまさに尾が蛇なので、これをそのまま移植することにします。
そして最後の炎については、3のサラマンダーの吐く炎がちょうどよいと判明しました。
これらをすべて組み合わせ、色合いを統一した結果がこちらになります。
これはまさしくマルコシアスなのではないでしょうか。
地獄の辞典挿絵と見比べてみても、ほぼ完ぺきな一致具合だと思います。
蛇の尾のサイズ感もぴったり。
また狼と蛇とで2回攻撃をしてきそうな雰囲気もいいですね。
ということで非常に満足のいく結果となった真・マルコシアスですが、
とてもめんどくさいのでもうやりません。
そういえば、マルコシアスってドラクエシリーズには未登場ですけど、
11に登場したワイバーンドッグ(ウルフドラゴン、レジェンドウルフ)はかなりイメージに近いと思います。
今後のドラクエで、ワイバーンドッグの色違いとしてマルコシアスが登場する可能性はわりとあるかもしれません。
能力は曖昧
外見はかっこいいイメージで固まっているマルコシアスですが、
その能力については「どんな質問にも誠実に答える(ただし人間モードのときに限る)」くらいのことしか書かれていないんですよね。
基本的に戦闘タイプなので闘争に加勢してくれるというのはあるようですが、
具体的になにができるのかはいまいちはっきりしません。
ちなみに狼モードのマルコシアスに何か質問した場合は、
遠回しな言い方をされたり質問の一部分しか答えてもらえなかったりするようです。
フールフールもそうでしたが、72柱の魔神は召喚時の姿のままだと言うことを聞いてくれないというのがわりとありますね。
ただマルコシアスはフールフールとは対照的に嘘を嫌うといいます。
そのためマルコシアスに対して嘘をついたりすると非常にまずいことになるので気をつけましょう。
ちなみに堕天前は主天使または権天使に所属していたとされ、
悪魔として地獄に落とされた現在の心境は「天界に戻りたい」とのことです。
炎のつらら問題
「炎のつらら」というのは何かというと、マルコシアスが所有する武器というか必殺技みたいなものです。
マルコシアスはこの超兵器を駆使して、かつての天使軍との戦いにおいて大活躍したということなんですね。
で、この「炎のつらら」についてはネットや書籍、
ゲームや漫画などにおけるマルコシアスの解説および設定でもちょくちょく取り上げられていたりするんですが……。
実はこれ、近年の「創作」なんです。
初出は江口之隆氏の書いた「西洋魔物図鑑」(1996年)。
この西洋魔物図鑑という本は72柱の魔神全員を紹介している当時としては数少ない書籍なのですが、
刊行から現在に至るまでなにかと物議をかもしており、72柱好きの間ではかなり有名な本だといえます。
その大きな理由としては、江口氏が、伝承上の記述の中に自身の創作設定をかなりの割合で混ぜ込んでくるということが挙げられるでしょう。
基本的な解説については伝承の記述に忠実に書いてるんですよ。
このブログでも記載している軍団数とか爵位とか。
能力についても基本は昔の文献に沿っています。
ところがそこへ唐突に、オリジナル設定をさも史実であるかのようにねじ込んでくるのがこの本の特徴、というか江口氏の特徴なんですね。
で、この江口設定のひとつがマルコシアスの「炎のつらら」というわけです。
江口氏の「文献の記述に創作をさらっとねじ込む」という手法により、
「なるほどそういう悪魔なんだな」と納得した読者は相当数にのぼると思われます。
というのも、現在の72柱に関するサイトや書籍などの記述においてもこの江口設定が普通に記載されていたりするからです。
(かくいう管理人も読んでます。)
そのため、この西洋魔物図鑑のオリジナル設定を歴史文献に載っている記述のように扱ってしまうと、
「また江口かよ」みたいに言われてしまうこともしばしば。
またマルコシアスについては、「かつてはグレモリーの騎乗獣をつとめていた」なんてことまでいかにも本当っぽく書かれていたりしますが、
これもやはり江口設定です。
そういうわけで、読む際は「江口氏の解釈を楽しむ」くらいのスタンスがよいかもしれませんね。
賛否両論ある本ですが、ソロモン72柱の知名度向上には多大な貢献をした本であることは事実だといえましょう。
創作におけるマルコシアス
FF6でザコキャラとして出てきましたね。
なぜか紫色の鳥でした。
FFシリーズは名前だけ借用して、
姿は元ネタと全然関係ないパターンというのが多いように思います。
また「機動戦士ガンダム外伝 ミッシングリンク」では、
腕の良い若者を集めた特別競合部隊の名前が「マルコシアス隊」でした。
そのエンブレムは伝承に忠実な狼×翼×蛇というデザインになっています。